僕のなんでも手帳

おバカな僕の思うことをただただ書いていきたいと思います

短編小説: 夢の続き

目を開けると漆黒の闇が広がっていた

いったい何が起きたのだろう
私はどうやってここに辿り着いたのか
何も思い出せない

私の体が仰向けの状態なのはわかった
ただ、目を開けて周りを見渡しても
灯り一つ見えないため、方向感覚や平衡感覚が狂ってしまいそうだ

そうだ。

「あ!」

私は声を発した
何となくではあるが、声の跳ね返りで
今、私の居る場所がどのような空間になっているのかを確かめられるかもしれない

まるで暗闇を自由に飛び回るコウモリみたいな

「あー!」

声を少し大きく、長く発してみた
発した声は辺りに反響しまるでエコーがかかってるかのような感じになった
壁に囲まれてないと、もしくはワンルームの部屋くらいじゃないと、こういう声の跳ね返りはしないはず。確信は持てないが。

恐らく何も無い部屋かもしくはトラックの荷台?

何にせよ、ここから出なければ

身動きもとれる状態だ
私は立ち上がってみることにした

緊張を解す為に、深く息を吸い

「ふぅぅぅぅ」

息を吐くと同時に体を起こし私は勢いよく立ち上がった


目の前に広がっているのは

いつも見慣れた部屋の天井だった

「夢か、、」

嫌にリアルな夢だった
質感だとか、その時の心境
鮮明に記憶に残ってる

悪夢というのか、まるで熱を出して寝込んだ時に見る、ただただ穴の中を落ちていく夢みたいな、不思議な夢だった。

「ふぅ」

仰向けになりながらぼーっと天井を見つめていた

さて、起きて仕事に行く支度でもしよう

私は体をゆっくりと起こした


目の前には海が広がっていた

「は!?」

あまりにも急な事で気が動転してしまった
事態が呑み込めない
なぜなら私は今、海に浮かんでいるのだから

そうか、夢あるあるってやつだ
夢から覚める夢を見てるパターンだ
私はまだ夢を見ているんだ

そうに違いない

さて、次は何が起きるんだ
あまりにも現実味のある夢のため、次の展開が楽しみになっている私がいた。

かれこれ数時間経っただろうか。

私はまだ海に浮かんでいる、何も起きやしない。
これはまさか、現実なのだろうか
本当なら夢から覚めても良い程時間が過ぎているように思える。
夢だからとただ、立ち泳ぎで浮かんでいたが
現実味があることを忘れていた
体力を結構消費してしまった

これではいくら夢の中とはいえ、辛い状況だ
海の底で餌になる夢なんてみたくない
仰向けになって浮かんでおこう

私はリラックスして仰向けになった

広がる青い空

これはこれで気分が良い



急に体が落ちていく感覚に陥った

「はっ」

寝てしまっていたらしい
いや、待て、それより私は今

遥か上空にいる、遥か上空から落ちている

ジオラマのように小さな街並みが見える

体は濡れている
海にいたからだ
さっきの夢の続きか、夢はいつも急に場面が変わることがある

これまた、夢あるあるってやつか。

最悪な夢だ

地面に叩きつけられる前に目を覚ましたい

今度はこのパラシュート無しのスカイダイビング状態から抜け出さなければ

どうする?自分の意思で動けるのは良いが
どうやって目を覚ます。
私は自分の顔を思いっ切り殴ったり叩いたりした。

覚めない、顔が痛過ぎる

最早、自分の意思で動ける事が恐怖に感じている。
意識もハッキリとしてしかも何かもが現実と同じく鮮明なだけに、夢を現実と錯覚してしまっている

夢とわかっていても。

「くそっ!」

人はどうしようもない時、つい声に出してしまうものだ。

いつも見ていた夢は自分の意思に関係なく
勝手に自分が何かをしてていつも勝手に目が覚める、記憶は曖昧で、夢の中の視界はなんとなくボヤけている
たまに自分を第三者の視点から見ていたりするもんだ。

だからこそ、この夢は恐怖に感じる

あっという間に、地面との距離も近くなっていく

気を失いそうだ

ビルが間近に見えるし、道路を走る車までだんだんとハッキリしてきた

「アァァァァァァァァ!」


自分の声で目が覚めた

「はぁはぁ」

まさか、まだ夢を見ているのか。
咄嗟に辺りを見渡した
いつもの部屋の風景

これだけでは、安心し切れない

起き上がり時計を見る
8時10分
いつも起きる時間帯
とりあえず仕事へ行く支度だ

早々に支度を済ませ、職場へ向かう

いつもの通勤路

ずっとリアルな夢を観ていたせいで
疑心暗鬼になっている

いつもの通勤電車

いつもの時刻に会社に到着

いつの間にか私の中にあった疑心も無くなっていた

いつもの私の生活

紛れもなくこれは現実だ

私は特に目立つ存在ではないが
今日の私は違っていた
まず、私は今日、昇進することができた
地道に頑張ってきた成果だ

そして次は、なんと、会社で人気の女性社員から告白された

あの拷問のような夢は、この日のためにあった最後の試練に感じる

胸を躍らせながら帰宅し、早速、あの子にOKの返事をしなければ

告白された時はあまりにも急だったから、、

急だったからな。

私にまた少し嫌な予感が過ぎった

今日、1日を振り返ると

急な昇進、急な告白。

「まさかな。」

そうだ、流石にこの日全てが夢であるはずなんてない

「おーい、起きろー昼休憩は終わったぞぉ」


「はっ」

あ、そうか、今日の昼休憩に少し仮眠をとったんだった。
ただ、待てよじゃあ、さっき見ていた夢は何処から何処までが夢だ。

怒りのような気持ちが私に込み上げてきた。

つい、怒りに任せ起こしてくれた同僚に突っかかった

「おい、夢なのかよ!?」

「おいおい、なんだよ、起きてるじゃん、夢なわけないだろう、早く仕事に戻れよ」

「じゃあ、俺は、俺は今日、昇進したか?」

「おい、昇進したのが嬉し過ぎてまだ興奮してるのか?」

昇進はしてる、じゃあさっきのは夢ではない現実だ。

「昇進はしてるんだな!じゃ、じゃあ俺は告白されてるよな!?」

「告白?あぁ!?あれ告白されてたのかよ!?」

「え、ほらだって、あの時はお前もいただろう」

「いや、そんなこと言われても少し離れたとこでこそこそしてたからさ」

「あぁ、確かに、そこまではわからないよな」

「んまぁー、良いねぇ!社内で人気のあの子に告白されるなんてよ!んじゃ、俺は先に戻ってるぜー」

「おぅ」

私は会社の屋上で仮眠をとっていた

ここは風が気持ち良いし、天気が良いと日差しも気持ち良くて、昼寝には最適だ

一服してから仕事に戻るか

「ふぅぅぅ」

あれ、待てよ

タバコの銘柄がいつものじゃない

また嫌な予感がする

「これは、夢か?」



「んーまぁ、このように人は今まで見ていた夢の記憶がハッキリとある状態で、更に別の夢を見ると夢と夢の区別がつけられなくなり、更に夢と現実の区別もつかなくなるようだ」

「なるほど、この被験者はずっとこうして装置の上で寝ているのですか?」

「いや、この被験者には、月に1度起きてもらい、普通の生活を1日過ごした後に、改めてこの装置の中で寝てもらう」

「ちなみにこの装置を使わずに夢の記憶を鮮明に覚える方法はあるのでしょうか?」

「夢の記憶を持つ人は多い、ただ少し違うのはこの被験者だけは、通常見る夢よりもリアルな夢を見ることができる薬を投与している」

「つまり、現実味があるということですか?」

「そうだ、夢の中では自分の意思で動けるようにしている、そのため、薬を投与した直後はまだ、薬の効果は発揮されないが次第に現実味が増していき、よりリアルな夢を見るようになる」

「なるほど、博士、私、一つ思い出した事がありまして」

「なんだね?」

「私も今まで見ている夢をハッキリと覚えているのです。私がこの被験者になるところまで」



前回に引き続き
第2弾
今回の落ちは微妙な気がしてる自分でも

でも、こうやってなんか物語を書くのは面白いなぁと

またもしかしたら第3弾もあるかも

それではSee ya